【#非当事者から見える景色】社会から見えづらい問題だからこそ、当事者の参加が重要に
2021.05.14
こんにちは、大野です。前回は、『次世代に話しかけられる環境維持の大切さ』というテーマでブログを書きました。今回は、2020年度の半年間がっつり考え抜いてきた、セオリーオブチェンジ(以下 TOC)で、ここが特に大切だよなという部分を自分の振り返りを兼ねて、伝えればと思います。
『穴の場所』を社会に訴える
「多胎育児はなぜ過酷になりやすいのか?」「なぜ社会から理解されづらいのか?」「多胎ママが自分らしく育児ができるようになり、ママ自身も含めたすべての命の誕生が喜ばれる社会になっていくには、どういうアプローチが必要なのか?」という大きな課題を元に、TOC作成を進めてきた。
TOC検討の中でひとつの糸口が見えたのは、あるひとりの人が穴に落ちている絵だった。
穴の中:孤立・無力感を感じている状態
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手を伸ばす:助けを外に求められる状態
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穴の上:問題がクリアした状態
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穴を埋める:次の人が穴に落ちない状態
ここで、いちばん伝えたいのは『穴を埋める』という部分。「なぜ過酷に?なぜ社会に理解されづらい?」という部分に、穴=問題を社会として放置してきたということがあって、そして穴は落ちていた人にしか見えない状態なんだろうなと。でも、穴から出た人は明るい場所をどんどん前に進んでいくので、後ろを振り返って「穴を埋めなきゃ」という思考にはならなかった。
「穴を埋める」ためには、穴の場所を特定すること、埋める方法を考えること、実際に埋めることと、いろいろやるべきことが分かれてくると思う。オンラインコミュニティやつなげる相談室をしていく中で、まずは『穴を特定』をしていくのが、NPO法人つなげるが日々の活動成果として社会に訴えていく部分なのかなと。
「おーい」って声を出している人を確認できる場所
「穴の中にいる人」にアプローチってできるのかな?世の中には、いろんな行政サービス・民間サービスもあるし、NPO活動やサポート制度もあるけれど、そういった情報すら届かないのが「穴の中」だとすると、「穴の中にいる人」にアプローチするのはとてもむずかしいのかもしれない。
じゃあどうするのってなったら、「穴に落ちる前に」アプローチする・つながりを持てるようにしておく・知ってもらえている状態にする、しかない。
ここの認知活動では、各自治体と協力していきたい。多胎妊娠がわかったら・多胎を出産したら・健診を受けたら、というタッチポイントが必ずあるはず。そこで、多胎児を抱える方にはその人向けの情報を全国各地で渡せるようになれば、「穴の深さ」が変わっていく気がする。
「おーい」って声を出してもいい場所。声を出している人を過去に見ていれば、その人自身も声を出しやすくなるかもしれない。そんな場所として「ふたごのへや」などのオンラインコミュニティが育っていけばなと。
「相談」すること自体が社会貢献に
そして最後に、恩送りのエコシステム。冒頭の「穴を埋める」にもかかわってくるけども、「穴」を知っている人じゃないと「穴」の場所がわからない。自分がどういう状況になって、何を頼ることができて、どのように穴から抜け出すことができたのか。そういう経験談は「穴を埋める」ための必要要素だと思う。
ただ、その時々の状況は大変すぎて忘れ去ってしまうから、そこにサポートしてきた人の客観的なレポートがあれば、思い出す糸口になるかもしれない。
現在サポートしている人と、将来穴から抜け出てきた人のふたりの知見が合わさって、初めて「穴埋め」対策ができそうな気がする。そのためには、穴から抜け出てきた人に何かしらの形で多胎支援活動に関わってもらわなきゃならない。『相談する』ということ自体が社会貢献になるという風に理解が進めば、相談しやすい環境も醸成できるし、相談自体が次世代の糧になっていき、同じ「穴」ができづらくなるんじゃないかと思う。
社会からその「穴」が見えていないからこそ、その「穴」に関わった人たちが主役になって変えていこうと思えるような体制づくりをしていきたい。