NPO法人つなげる

Newsお知らせ

10/29 NHK『きん5時』をご覧いただいた皆さまへ

2021.10.29

メディア

 

この度は、10月29日(金)放送、NHK『きん5時』をご覧いただきありがとうございました。NHKさんからお声がけいただき、「双子親・多胎児親支援」を行っているつなげるの活動を紹介させていただきました。私たちの活動へ、さらなるご関心をお寄せいただけますと幸いです。

少し長くなりますが、双子・多胎支援における現状や課題、私たちが大切にしていることなど、取材内では伝えきれなかった情報をより詳しくお伝えしたいと思います。ぜひこの機会にご覧ください。

▼寄付をご希望の方はこちら
https://congrant.com/project/tsunageru/3619

▼プレスリリース:10月スタートの新しいオンラインサービス
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000002.000087597.html

 

 


取材を終えて思うコト

「ふたごじてんしゃ」という乗り物を通して、双子や三つ子を抱える家庭(多胎家庭)の暮らしにフォーカスがあたることは、10年間の活動を通して中原自身が大切にしてきたことなのでとてもありがたいです。この度の取材でも、多胎家庭がどのような悩みを抱え、どのような手助けを必要としているのか、そしてその悩みを少しでも軽減できる方法を伝えました。

双子や三つ子を抱えるママは、同じ境遇のママに出会うことすらも簡単ではありません。なので、いま抱えている悩みを共有できるような存在を得るのがむずかしかったりします。都会ならまだしも、郡部へいくとますますその傾向は強くなります。また、多胎育児特有の困難さを分かってもらおうと必死に伝えても理解してもらえないことで、なんとも言えない孤独感にさいなまれます。

実際の育児では、「双子が泣き止まないことは自分の子育てが悪いのだろうか」「授乳にこんなに時間がかかるのは、私が要領よくできないからだろうか」「日中のお散歩に連れ出せてあげられないのは、自分の怠慢なのだろうか」などと自分を責める気持ちが強くなったりしてしまいます。周囲からは「赤ちゃんは泣くものだ」といわれても、同時に泣かれることで音量が二倍になることや、交互泣きで四六時中泣かれている状態は、ママの気持ちを追い詰めつづけ、たとえトイレに逃げ込んだとしても、声が追いかけてくるよう感覚に襲われます。

授乳の問題も大きいです。新生児期は2時間おきに授乳が必要ですが、双子・三つ子だからといって同時におっぱいやミルクを飲んでくれるわけではありませんし、ましてや小さく生まれることが多い多胎児の場合、飲みが悪く時間がかかることもあります。泣きの対応で寝不足が続くママですが、小さく生まれた赤ちゃんの体重の増えを気にすることも多く、少しでも多く飲ませたいと思うのも無理もないことだと思います。

また、授乳と文字にすれば2文字でコンパクトに見えますが、実際は、ミルクであればお湯を沸かし、計量し、適温に冷ましてから、2人ないし3人に与えなければなりません。上手に飲めない子へは抱っこすることもあるでしょう。しかも、それぞれが大人しく静かに待ってくれていることはなく、大声で泣き続ける赤ちゃんのそばで準備をし、それぞれにあげ、また2時間後にくる授乳に備えて哺乳瓶の洗浄消毒と、ミルクの補充管理をしなければなりません。

母乳であれば、同時に抱っこしてあげたくても、体がしっかりしていないうちはママひとりで抱き上げる事や、体勢を整えることは難しく断念するママも多くあります。そうなると、どちらかを泣かせ続けながら授乳することになり、落ち着いて授乳する機会もなければ、待たせている子に対して罪悪感を持ってしまいます。

 

透明な存在になったかのような気にさえなる

このように、複数の赤ちゃんを同時に育てるということは困難の連続です。しかも、授乳やうんちの時間や量を把握しておかなければ異変があったとき原因の特定が難しく、記録をきちんと残すことはママの自己満足ではなく、命を維持するための必要な仕事として負荷をかけることになります。

多胎育児というのは、ママはほとんど寝られない状態で生命維持のために必要最低限のお世話である授乳、おむつ替え、沐浴で一日がおわり、誰かと話せることも、このしんどい状況を共有する相手も見つからず、追い込まれていきます。世間一般的にイメージするママが赤ちゃんに優しく話しかけるという時間を、どれだけの多胎育児をしているママができているのだろうかと、わたしは気が気でなりません。

妊娠期から様々なハードルを越え、やっと赤ちゃんに出会えた時、わたしたちは確かに嬉しかったのです。両手に赤ちゃんを抱えたとき、確かにわたしはこの子達の母になったのだという、喜びがあったのに、たった数日でそのような喜びはどこかへいってしまい、育児を機械的に効率よく進むことだけを考え、自分は食事もお風呂、睡眠の時間さえも満足にとることもできなくなり、大人と話せる機会がなくなり、同じ悩みを話せる人もおらず、まるで自分は透明な存在になったかのような気にさえなってしまうのです。

この様々な状況で疲労感や孤独感、無力感などが募り、母親としての自己肯定感を下げ、外出困難な育児から他者との交流がむずかしくなり孤独な育児をしている家庭が少なくありません。

 

IT技術を活用して孤立しやすい多胎家庭の支援を

中原からは、なぜふたごじてんしゃを生み出そうとしたのか、多胎育児の外出困難から、孤独な育児があり、ママの孤立化を伝えました。

よく「一番大変な時期はいつですか?」と聞かれるのすが、新生児期、乳児期、幼児期・・・それぞれの時期に1人の子育て(単胎育児)とは異なる困難があります。乳児期の大変さもありますが、なかなかフォーカスされない1歳以降の困難さを今後も引き続き伝えることで、1歳未満でおわる産後ケア事業をより継続的なサポートの必要性を伝えていきたいです。

また、心の孤独感を埋める取り組みも必要だと思います。デジタル化が進み、全国どこにいてもつながれる環境が整いました。

これまでつながりづらかった多胎家庭も、オンラインでつながれるようになったので「今年、初めて多胎家庭が誕生した」という自治体さんなどであれば、同じ境遇であるママパパ達(つなげるピアサポーター)が新米多胎児ママパパを支えられるよう、このサービスを導入してもらいたいです。

私たちは常に、ママパパがアクセスするためのハードルを下げ、すぐにつながれることを大切にしています。

「自分だけじゃなった」「こんなに仲間がいたんだ」「自分がおかしいんだとおもっていた」と独りぼっちだと感じていたママが、「聞いてもらって気持ちが楽になった」「ホッとした」と気持ちが前向きになり、ようやく社会との接点を考えられるようになります。そして、わたしたちはスムーズに地域保健師さんとつながれるよう、ママ自身から個人情報をお預かりし、担当保健師さんにママの声を届けることをしています。これは、気にかけてくれる保健師さんには遠慮があって言えないことも、ピアだからこそ言いやすいこともあり、その役割を担っています。

 

双子・多胎児ママパパへ

NPO法人つなげるでは、双子・多胎ママが社会とつながる場や気軽に悩みを相談できる場をつくっています。

LINEオープンチャットや、会員制ルーム、zoomなど上記のような場所を用意しております。詳しくはこちらからご覧ください。同じような悩みをもつママや、多胎育児を経験したママがたくさんいます。ぜひ一度気軽にのぞいてみてください。

 

双子・多胎児ママパパを応援したいと思ってくださった方へ

双子・多胎育児はまだまだ社会的に十分な理解がされず、多胎育児ならではの悩みや特性を踏まえた支援がなされていないのが現状です。まずはもし周りに双子・多胎ママがいましたら、できる範囲で手助けをしたり声をかけていただきたいです。

さらに、ぜひこの機会に多胎支援を行うNPO法人つなげるの活動を応援してください。

孤立しがちな多胎育児を、もっとオープンで、もっと安心なものにするために。私たちは日本最大の多胎サークルを実現し、どんな育児環境でも自分らしく生きることが出来る支援をしていきます。

いただいたご寄付は、多胎育児で悩むママやパパのお話を共感をもって聴き、多胎育児の悩みを共有する場をつくることのできる「ピアサポーター」の養成事業や、地域の多胎支援の輪を広げるための活動に活用させていただきます。

毎月のご寄付は、双子・多胎家庭への安定した支援につながります。

▼毎月の継続決済へのご寄付はこちらから
https://congrant.com/project/tsunageru/3619

▼その他、今回限りのご寄付も受け付けております
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最後に、今回はNPO法人つなげるを知っていただきありがとうございました。ぜひ引き続きあたたかい応援をいただけますと幸いです。

NPO法人つなげる 代表理事
中原 美智子