「双子ベビーカー バス乗車拒否」へのWEB記事等に想うこと
2022.11.09
2022年11月7日に公開されたひとつのブログをきっかけに、さまざまなコメントが飛び交っていることについて、ふたご・みつごなど多胎支援を実施している団体として、何のリアクションもせずに、この問題の熱が冷めることを他人事のように待つことはできないと思い、この文章を書き始めています。
わたしたちから、多胎育児の困難さを伝える機会は少なくありません。同じ年齢の小さなこどもを2人以上同時に育てることについて、月齢・年齢や育児シーンに応じた大変さを伝えてきました。それと同時に、そういった大変さを社会全体でカバーできるのであれば、多胎家庭以外の同様の大変さを抱えている方も、負担が軽減するのではないか、という文言を忘れずに付け加えています。
その理由は、「多胎だけがしんどい」という誤解を招かないようにしたいからです。
多胎家庭であっても、経済的に余裕がある・家族や周囲の手助けが得やすいなど、社会からの支援を必要としない家庭も当然存在します。そして、ひとりの子どもを育てる家庭であっても、いろいろな困難を抱え、社会からの支援を必要とする家庭も少なくありません。
今回のWEB記事に対するツイート・コメントなどを拝読し、すごく悲しいというのが本音です。ただ、当法人の明確な姿勢として、この文章を読んでいただいているみなさんに伝えたいことがあります。
この問題については、当事者からの問題意識はもちろんのこと、それを取り巻くステークホルダーの視点やそれぞれの考え方などを忘れることなく、いろいろな側面から情報が発信され、社会を変えていく歩みが必要だと考えます。「多胎」と「そうじゃない」が二分されるのではなく、ひとつの社会で生きていく中で、どのような工夫や新たな取り組みで、いまある困りごとが解決できるのか。多くの方が、社会全体として、いっしょに考え・行動していく必要があると考えています。
わたしたちNPO法人つなげるは、「育児を、みんなで育てよう」を合言葉に、「命の誕生を当たり前に喜べる社会の実現」を目指しています。いろいろな子育てを取り巻く問題において、誰が悪いのか・何が正解かと盲目的になるのではなく、社会構造全体として何が取り組むべき課題なのか本質的なことに向き合い、いろいろなご支援・ご協力をいただきながら、日々活動を進めています。
わたしたちは、これからも多胎支援の必要性を丁寧に伝えていきます。そして、多胎だけではなく、あらゆる子育て環境がよりよくなることを切に願っています。
これからも、ご支援・応援どうぞよろしくお願いします。
2022年11月9日
NPO法人つなげる