多胎ママの痛ましい事件を受けてのメッセージ
2023.02.15
2022年11月、香川県さぬき市で悲しい出来事がありました。双子を含む3人の子のお母さんが、生後7か月の双子の一人に暴行を加えて重傷を負わせ、2023年2月に逮捕されました。本人は「育児ストレスがあり、泣きやまないことに対して腹が立った」と話しているようです。
https://news.yahoo.co.jp/articles/41a7a86bc83fcecf6f671ed0e3fcd359e03c08f5
報道からは、「何でこういうことになったか、わけがわからない…。」「上の子はいつもパパなりママなりが外へ連れて遊びに出ていたのに…。」といった声が挙がっていることがわかります。この家庭の困りごとや、育児が深刻な状況だったことは、周囲には見えていなかったようです。
双子や三つ子などの多胎児の育児の過酷な状況は、まだまだ社会的に認知されていません。たとえば子どもの夜泣きは単胎児の場合でも大変な問題です。それが一人ではなく、二人や三人がかわるがわる一晩中泣き続ける状況を想像してみてください。しかも、そうした泣き声を聞いた近隣の人からは、「子どもの泣き声がうるさい」「虐待ではないか」といった声が寄せられることもあるのです。
多胎育児の困難さは、そもそも多胎家庭が少ないこともあり(多胎児は全体の1%:日本多胎支援協会HP)、社会では十分理解されていません。さらに、日本ではまだまだ「育児は各家庭の自己責任で行う」「母親一人で何とかするべき問題」だという考えも根強く、身近な人たちでさえ母親本人の過酷な状況を十分理解できていないようです。こうして社会から隔絶された多胎ママは、自分が誰からも見えない「透明な存在」になっているように感じ、ひどい場合には精神的に追い込まれ、虐待などにつながってしまうことも多いのです(多胎児の虐待死について:日本多胎支援協会HP)。
今回の事件は決して許されることではありません。ですが、私たちNPO法人つなげるは、こうした母親を生んだ周囲や社会の状況も変える必要があるのではないかと考え、多胎家庭に対する支援を続けています。このような事件を目にした皆様には、断片的な情報で何かを判断するのではなく、その背後にある問題に思いを寄せていただければと考えます。
NPO法人つなげるの活動:私たちは、3つの「つなげる」活動を通して多胎ママ(多胎家庭)を支援し、「誰もが命の誕生を当たり前に喜べる社会」の実現を目指しています。
(1)「多胎ママ同士をつなげる」
オンラインコミュニティ「ふたごのへや」(LINEオープンチャット)やバーチャル子育てひろば「ふたごのひろば」(バーチャルオフィスoVice)などで交流できる場所の提供
(2)「支援につなげる」
オンラインでの個別相談から地域の子育て支援サービスへとつなぐ活動
(3)「社会をつなげる」
私たち以外の多胎など子育てに関わる社会課題解決に取り組む企業や団体との連携を通じた既存サービス拡充および新規サービスの開発など
こうした活動にご賛同いただける方は、ぜひご支援をお寄せください。
2023年2月15日
NPO法人つなげる