【全文】ふたごのまちへの想い
2020.12.22
※2020年11月に取材を受けた際の文章をノーカットでお届け
◆何かひとつに参加できる
これは、つなげるが目指すところ。実際少しずつだけどできているところもあれば、これからこんな風になったらいいよねっていうのが、全部イラストになっています。(これが全部実現できたら)どうなるのかなぁ…どうなるのかはわからないけれど、少なくとも過去の私が、どこかひとつには何か参加できたんじゃないかなって思います。うん、そう思います。
◆「声をあげていいんだ」
多胎って点在していて、一か所にギュッと集まっているわけではない、そもそもマイノリティ。その人たちが、つながれる場所としてNPO法人つなげるは存在しているんだけれど(『ふたごのへや』『ふたごのいえ』など)、ただ単にお話しをして終わりなのではなく・当事者(多胎ママ)同士がつながるだけでもなくて、その中で出てきた問題・課題を社会全体に発信していくという役割を(NPO法人つなげるが)担っていると思っています。
それに加えて、それぞれひとりひとり悩みは違うから、そこには担当のピアサポーターさんが付いて・悩みを聞いて「どういうことで困っているのか」をちゃんと整理して、その地域の保健師さん・行政担当者さんに伝えていって、より暮らしやすい・子育てがしやすくなるように、いっしょに進んでいけるパートナーでありたいなと。
(活動を進めていくうえでの課題は)多胎支援が必要だと(社会に)理解してもらうことがまず第一に必要です。そして次に、実際に多胎児のパパママになった人たちが、「声をあげていいんだ」「人に助けを求めていいんだ」ということを知ることです。良き理解者を得て、そして自分が話せないところは代弁者を立てていかなければなと思っています。
◆社会の理解が孤独を解消していく
双子育児をしていく中で、すごく孤独で、孤立無援っていうのかな?「自分だけじゃないか」とか「この大変さって、これだけ周囲に言っていても理解してもらえないんだ」と思っていました。
だけど、実際同じような境遇の双子ママに出会ったときに、自分が大変だったときの感情を理解してくれて、「この人にだったら、もやもやしてた気持ちを正直に伝えていいんだ」って思えて、あのときの孤独な気持ちとか、そのときに思っていた怒りとか悲しみとかが、サーッと薄れていくというか消えていくというか、なにかそういうことを感じました。どんな時でも、分かってもらえなかった悲しい気持ちを心の隅っこに追いやるんだけど、それをまた理解してくれる人によって解消というか癒される体験をすることで、孤独な気持ちは薄れていくんだと知りました。
「わたしだけなのかな」って思うと、人ってなかなか声をあげづらいと思います。でもそうじゃなくて、「わたしだけじゃないんだったら、こういうときどうしたらいいんだろう」って声をあげられるといい、そして、その声を受け止めてくれた人たちが「わたしも実は悩んでいてね」って、「でもいまは、こんな風に子育てができているんだよ」って教えてくれたりもします。
「こんなにすごくしっかりしている人でも昔は悩んでいた時期もあったんだ」って知ることで、わたしにもきっと大丈夫な日がやってくるんだって希望になると思います。
自分ひとりじゃないって知ることが、すごい大事だなと。多胎ってなかなか出会えないから、まずはオンラインでつながっていくことが大事かなって。
◆まずはオンラインでつながりを
オンライン上で、日本全国の双子・三つ子のママがつながれる場所を提供しています。
『ふたごのへや』では、ピアサポーターとか関係なく、いろんな子育てをしている全国のママたちが、LINEのオープンチャットの中で、それぞれ自分の悩みを伝えたり、「こんな嬉しいコトあったよ」とかいろんな子育ての工夫とか、そういうことが日々会話の中であって。
その中で、自分でコメントを残せる人もいるけれども、残さなくても読んでいるだけで、「こんな悩みを持っているのは、わたしだけじゃなかったんだ」と思うと、「この場所がすごく救いになってる」と言ってくれるママたちもいてて、そういう場所がみんなのおかげで、みんなでつくることができていて、本当によかったなって思っています。
参加してくれる人たちに対して、何ができているか正直まだわからない。だけど、私にとっていま近い存在であるつなげるピアサポーターさんたちに対しては、常々「あなた自身が何を大事にして子育てをしてきたのか」「どういうことがしたかったのか」とか投げかけていて。
その言葉が出てくるたびに、その人たちが大事にしている場所で、何か活動・活躍できる場所をつくっていきたいなと思っている。それがその人にとっての、自分らしい生き方であったり、自分らしい子育てになってくれたらなって、強く願っています。
◆共感してくれる人がたくさん集まってくれたらなって
『命の誕生を当たり前に喜べる社会』であってほしい、というのはずっとそれを願って活動をしていて、その中でNPO法人つなげるでは『育児を、みんなで育てよう』というのを合言葉に、ママであったり・パパであったり、それだけではなくて企業さんだったり・行政だったり。「みんなで育児を育てていこうよ」って、そういう風に前のめりで入ってくれる人たちといっしょに、いま「ひとりぼっちなんだ」って思っているママをサポートしていきたいなと思っています。
(ふたごのまちの)中ではいろんな人が、思い思いの場所で何かしてて。必ずしも全部のブースに行く必要はなくって。自分が興味のあるとこにだけ参加すればよくて。でも、聞く人と聞かせてもらっている人が、常に笑顔で。それが何かというと、わざわざやりたくないことはしなくていい。「こういう社会になったらいいな」「じゃあ、わたしはこういうとこだったら、何か手伝えるかもしれない」という人たちが、この中に入ってきてくれて、いっしょにこの『ふたごのまち』っていうのをつくるお手伝いをしてくれたらなと。
だから、何の興味もなくて・何かしたいわけでもなくて、ただ単に人を集めたいからっていうのでやるつもりもない。「こんな社会になったらいいな」「やっぱり誰もが、『命の誕生を当たり前に喜べる社会に』なってたらいいよね」って、そこに共感してくれる人たちが、ここに集ってくれたらいいなって、思っています。