【#非当事者から見える景色】ひとりでも嬉しい人がいるなら大成功
2021.04.16
こんにちは、大野祐一です。前回は、『答えなんて出ることがない相談支援』というテーマでブログを書きましたが、今回は先日実施した『ふたごつなげるカーニバル』についてです。4/10(土)に実施したのですが、その前日には東京都でも、不要不急の外出を控えてくださいというメッセージが出され、開催可否の問い合わせがあったりもしましたが、「なぜコロナ禍のタイミングでやったの?」「どんな意味があったの?」という視点でお伝えできればと思います。
従来からあるイベントの概念をつぶしたい
何も知らない非当事者目線で考えると、「わざわざリスクを冒して、コロナ禍の中、子連れで移動して、イベントに出るなんて馬鹿げている」「欲しい商品の情報なんて、今の時代ネットにいくらでも落ちているし、口コミだってたくさんあるんだから、オンライン配信すらいらないんじゃないか」と思う。少なくとも、5年前のぼくはそう思ったはず。そう、「なぜいまやるの?」「意味なくない?」って。もしかすると当事者である多胎育児家庭の方でも、そう思った方もいるかもしれない。
大げさなことを言うかもしれませんが、従来からあるイベントの概念をつぶしたいと考えている。批判的な意見に真っ向から勝負を挑みたいなと思っていて「リスクを冒してでも、このイベントに行く価値がある」「ネット口コミや大規模小売店での体験だけでは、得られない価値がある」と思ってもらえるイベントに、すでになりつつあるんじゃないかなって。
各企業ブースが独立していて、商品のPRするだけのイベントにはしたくない。当日限りのお祭りのようなイベントにはしたくない。少なくとも、そういう想いを関係者と共有した上で、『ふたごつなげるカーニバル2021』は企画・開催することができた。
ぼくはSNSやネット情報を信じない
協賛企業がついているイベントをどう思うのか?それは人それぞれだからわからないけど、「商品のPRをされるのは子育てイベントは嫌だな」って思う人が多いような気が。実際に、『ふたごつなげるカーニバル2021』の告知をしているときに、Twitterで「こういうイベントを求めているんじゃないよな」という感じのツイートも見た。
リアルに困っていて時間のない方は、直接自分の困りごとが解決するようなモノ・サービスを求めていて、プラスそれが無料だったり割引だったりお得な情報を求めているんだろうなと。いちばんの理想は、個人に寄り添って、意味のある情報だけを届けることだと思うんだけれど、「個人に寄り添う」「意味のある情報だけ」といったときに、すでに関係性が構築されていないと、そのニーズに応えることはできない。どれだけターゲットを絞ったところで、こちらの想像の域を超えていかない。
「この団体・活動は信頼できるな」ということを積み重ねていかないと、情報のキャッチもしてもらえなければ、信頼関係を構築するスタートラインにすら立てない。けど、SNSなどネットを介した情報発信だけでは一方通行になりすぎて、どちらも相手の顔や表情が見えない。正直ぼくは、SNSやネット情報を鵜呑みにして信じることはしない。どれだけ口コミがいいとかメディアで評判だったとしても、初めてのものには警戒心がめちゃくちゃある。
だから、大きな会場で、ひとつのテーマで、いろいろなモノが集まって、展示しているイベントだったりっていうのが、コロナ禍以前までは開催される意義があったはず。けど、コロナ禍での外出自粛、来場者数の制限などもあり、積極的なイベント開催っていうのは見送っているところが多いと思う。感染拡大を防ぐためということもあるけれど、それ以上に採算がとれないからっていうのも大きな要因としてあるはず。
イベントが持つ価値を変える
「イベント開催がなくなってるから、やる意味があった」と言いたいわけではなくて、イベント自体が持つ価値を変えていかないと、より一層、生きた情報が届きにくい社会になるのではないか、という問題提起。
従来は、モノがそこですぐ買えるとか、キャンペーン価格になっているとか、お祭りみたいで消費者に声をかけやすいとか、そういうイメージだったような気がする。でも、すぐ買うならAmazonや楽天でも買えるし、頻繁にキャンペーンとかやってるし、SNSでばんばん広告とかDMも流れてくるし、わざわざイベントに出かけなくてもそういうものを得られる時代になっている。(大きなもの、例えば車とかはまだまだ大きな会場でする意味はあるかも。ここでイメージするのは、育児関連のグッズ)
正直、ネットの中でのPR合戦っていうのは消費者的には飽き飽きしていて、そういう都合のいい情報だけで取捨選択して、「購入したの失敗したなー」っていう経験があるはず。笑い話になるくらいの少額な買い物ならまだしも、各個人で金銭感覚が変わるからなんともいえないけれど、失敗したくない買い物になればなるほど、慎重に。
そこの判断材料として、日常の雑談や仲間内の交流会なんかで、生活シーンを切り取りながらの情報収集をしたり、実際に使っているやつ試させてよ、なんていう会話があったりしたんだけれど、それもこのコロナ禍で失われてしまった。
ここにこそ、イベント自体が持つ価値を変えられる要素があると思っていて、洗練されたPRタイムではなくて、雑談タイムの中にこそ必要な情報が詰まっている気がする。
生きた情報を届ける活動
ここで話を多胎育児家庭に移すと、これまでは雑談をしたり情報共有したりする場所として、各地域の多胎サークルが果たしてきた役割というのは大きくて、ほんとうに有意義な活動だと思う。ただ、そんなサークルも自主的な活動であるため、運営メンバーの不足だったり、資金面での問題があったりもする。地域サークルがなくなることも、生きた情報を届けられない社会を加速化させてしまうから、これも防がなきゃならない。
イベントとサークルという違うことのようで、どちらも『生活シーンをふんだんに盛り込んだ、生きた情報を届ける活動』という点では、規模の大小はあれど、同じ機能を持つ活動だと思う。(もちろんそれだけの機能ということではなく、共通項はあるよねって話)
これだけ長々と話してきて、結局何が言いたいかというと、地域の多胎サークル活動に企業スポンサーがつくようになったら面白いよねって話。そして、各地域サークルごとにコラボして、オンライン中継してつながったら、もっとおもしろいんじゃないって。
『ふたごつなげるカーニバル2021』でこのタイミングでやってよかったなと思うことは、リアル+オンライン+アーカイブ動画というやり方でのイベント運営の実証実験ができたこと・参加してくれた来場者・視聴者・企業スタッフさんたちがそれぞれの目線で「よかった」と思えるものを感じてもらえたこと。もちろんまだまだつたない点もあるし、より良いものにするための課題点もたくさんあるけれど、イベント終了後に届くママさんたちからの感想の声や、企業担当者さんの声がほんとうに嬉しい。
ほんとうにやってよかった、その一言に尽きる。
ブログを読んでくださった方にお願い
今回開催したイベントでは、協賛企業さんを募ることができ、また当日来場者の方々からのご寄付をいただくことで、イベント開催自体の資金繰りはなんとかなりました。コロナ禍でのイベント・どんなイベントかも不透明な中、ご出展・ご寄付下さった方々、ほんとうにありがとうございました。ぜひ、今後もNPO法人つなげるの活動を応援くださいますと幸いです。
また、イベント開催にあたって、SNSでのシェアや地域サークルでの告知等でご協力・応援くださった方々もほんとうにありがとうございます。
正直、参加申込を開始した当初は、リアル・オンライン共になかなか人が集まらないかもしれない。どれだけ、YouTubeで後日視聴が可能だから、当日の来場者だけが本イベントの結果ではないと言っていても、リアルタイムの来場者数が一定数集まらないと、動画コンテンツ自体の盛り上がりにも影響が出るため、戦々恐々としておりました。
日頃から、いろんな人が、いろんな形で、私たちの活動を応援してくださっており、その力をNPO法人つなげるの活動にしっかりとつなげることができており、「育児を、みんなで育てよう」のメンバーが増えてきているなという実感がございます。
個人/法人関わらず、ご寄付での応援も募っておりますので、ぜひよろしくお願いします。