NPO法人つなげる

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【#非当事者から見える景色】自分の経験をどう再現・改善できるか

こんにちは、大野です。前回は、『ひとりでも嬉しい人がいるなら大成功』というテーマでブログを書きました。今回は、『資格・認定』についてです。この世の中に、資格や認定を取得するための講座や試験がたくさんあります。ぼくは、そういった勉強がとてつもなく苦手で、でもだからといってプロとして仕事ができていないかというとそうでもなくて、「じゃあ、なんでみんな資格や認定を取ったりするのかな」って純粋に疑問が。そんなことを話していけたらなって思います。

 

資格欲しいなって正直思ってた

英語検定2級、普通自動車第一種免許、日商簿記2級、SAP認定コンサルタント、フォークリフト免許、玉掛け。こんな資格とかしか持っていない。いっとき、中小企業診断士・税理士・社労士なんて資格があれば、いろんなところで必要とされる人間になれるのかな、なんて思ったりも。でもまぁご存知の通り、そんな資格を現時点で持ってもいなければ、勉強すらしていない。でも、いまぼくは、起業相談支援の最前線にいる。

尼崎創業支援オフィスアビーズという場所でインキュベーションマネージャーをやっている。同様のマネージャーや経営相談員と名の付く方々は、士業。もちろん、資格を保有して、仕事をしている。マネージャー紹介で、何を書けばいいのか、実をいうと困った。

経歴・実績なんて書いても、お客さんやプロジェクト名称しか書けないから、けっきょく何ができる人なのかなんてわからない。どれだけあがいても、相談主の業界知識・ノウハウには現時点では敵わない。どれだけ、資格を持っていればよかっただろうと思ったことか。手っ取り早く自分にどんな知識があって、信頼ができる人間かを説明できるのに、資格や認定は好都合だ。

 

自分が相談する側だったら?

今日相談を受けた方から、「あなたに相談できてよかったです」と言われた。これ以上ない嬉しい言葉。そして、その言葉をいただく前から、ぼくが書いたつたないプロフィール文を見て、「いろんなことをされていて、ぜひ話を聞いてもらいたいと思っていた」とも言われた。正直、何を書いたかすら覚えてなかったけど、これまで積み重ねてきたいろんな経歴・実績を見て、興味を持つ人がいるんだなと思った。

そのときに思ったのは、自分が相談する側だったらどうだろうと。どういう人に話を聞いてもらいたいと思うだろう。

きっと、相談したいと思ったときに問題・課題に感じているキーワードに引っかかる人がいれば、「この人!」って思うだろうし、もしいなかったとしたら、自分が話しやすいなと思う少しだけ自分より年齢を重ねている方を選ぶ気がする。資格があるからどうとかではなくて、あくまでも『いまの自分』に合うかどうかな気がする。

弁護士資格を取ったばかりの人と、弁護士資格を取って20年の人と、どっちを選びますか?

資格を取っていてもぜんぜん仕事をしてこなかった20年かもしれないし、資格を取ったのは最近だけど大手の弁護士事務所で見習いとしてめちゃくちゃ活躍していたかもしれないし。結局のところ、資格があるからその人の凄さを表せるものではなくて、大切なのはその資格を持って何をしてきたか・何をしたいのかという点につきる。

 

マインドを醸成する『つなげるピアサポ講座』

急に、NPO法人つなげるのピアサポーターの話になるけれど、『つなげるピアサポーター養成講座』というものを開催してる。そして、つなげるピアサポーターとしてぼくたちの仲間になってもらうためには、その講座受講が必須となっていて、いわば『NPO法人つなげる』が認定した多胎育児のピアサポーター。けれど、そうなったからといって、まだ何者でもない。

ぼくたちが提供している『つなげるピアサポーター養成講座』は、相談支援にたずさわる人にとって大切なマインドを主に伝える講座になっている。相談支援をするにあたって、コミュニケーションスキルっていうのはたくさん学ぶべきことはあるんだけれど、そういったスキルに特化したものではなくて、あくまでもマインド。

「なぜ、多胎支援をしたいと思ったのか」「どんな自分でありたいのか」「NPO法人つなげるでどんな風に活動していきたいのか」そういったことも考えてもらう機会。もしかすると、相談支援とは関係がないと感じる方がいるかもだけど、そこが抜け落ちている支援者は、どれだけスキルがあったとしても、相談相手に寄り添うこともできなければ、同じ目線で理解・共感をしながら、適切な支援はできないと考えています。

 

自分の経験をどう再現・改善できるか

世の中には、セミナーを何回か受ければ認定を受けられるとか、勉強して試験に合格すれば資格が取れるとか、そういったものがたくさんあって、資格・認定があれば、仕事に困らないと考える人も少なくないのかもしれないけれど、決してそういうことではなくて、やっぱり、自分が何のためにその資格を取ろうと思っているのか、その資格を取った後にどんな人の困りごとを解決したいと思っているのか、どんな社会にしていくためにどう自分が貢献していくのか、という視点がなければ、仕事は増えていかないのかなって。

同じ資格・認定を持っている人は、切磋琢磨していく仲間なはずなのに、気づけば小さいパイを奪い合う敵になってしまっている。そんな悲しいことはない。お互いに得意な分野、興味があること、これまでに積み重ねてきたモノは違うのだから、お客さんや仕事は絶対に変わっていくはずなのに、そういう個性を見失って、資格だけを武器にしている人もいる。ぼくたちと関わっている人たちにはそんな風になってほしくない。

そして、非当事者から見て、『多胎育児をしている』というのはどんな資格や認定よりも物凄いPRポイント。出産された人のたった1%ちょっとの方しか経験していない希少な実績。その中で、どんな喜びや苦労をしてきたのかを整理できて、良い部分をどう再現できるか・悪い部分をどう改善できるかを、自分の言葉で説明できる状態になれれば、とてつもなく強力な相談支援者になれる。

あとは、いろいろな相談相手に適したコミュニケーションの引き出しを、練習や実践をとおして、身につけていくだけ。それは、座学だけでは絶対に身につかなくて、現場でしか学んでいけないんだと思う。そんなことを、多胎とは違う創業支援という現場に居続けて、思っている。どんなシーン・仕事・人との出逢いも無駄にはなっていない。それが、自分の自信と実績になっていると信じて、明日からも相談支援の現場に立つ。