NPO法人つなげる

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【#非当事者から見える景色】答えなんて出ることがない相談支援

こんにちは、大野祐一です。前回は、『”つなげる”に込めた想い』というテーマでブログを書きましたが、今回は相談支援についてです。僕自身も、兵庫県尼崎市の創業支援オフィスにて、創業支援という形で相談支援のお仕事をしています。社会人歴が10年ちょっとで、専門資格も持っていないけれど、起業家さんたちの悩みを聞く立場として、話を聴く仕事もしています。そこらへんも交えて、NPO法人つなげるがイメージしている『相談支援』のあり方を伝えていけたらと。

 

相談支援の線引きはむずかしい

NPO法人つなげるでは、「聞いてよっ、ふたごママ先輩」と銘打って、相談支援サービスを実施。公式LINEで多胎育児家庭かを確認し、予約サイトでの申込・決済処理後、主にZOOMで相談支援サービスを実施しているというのが、表向きのモノ。「ん?表向きって何?」と思われたかもしれないが、そんなキレイに相談支援サービスができるわけなんてない。

オンラインコミュニティとして、「ふたごのへや」「ふたごのいえ」「ふたごのまち」の3つを運営。へや:LINEオープンチャットいえ:SLACKまち:公式LINEというツールを駆使しながら、それぞれ運営。へや・いえは、チャットルームの色が強いので、いろいろな内容のチャットが飛び交っていて、その中で相談に応対したりすることもしばしば。ただ、それはあくまでも個人的な見解だよなという相互理解がある中で成立しているという側面がある。

一方で、公式LINE「ふたごのまち」は総合相談窓口として構えている。あくまでも、サービスへの中継地点として存在するわけだが、しかしながらそこに無視することなんてできない声がある。また、話を遮ってサービスに誘導することがナンセンスな場合もある。そう、公式LINE内で、相談支援が実質的に行われているという光景もしばしば。

 

当事者目線があるからこその想い

何も考えず、運営側の効率やメリハリだけを主張するのであれば、「そういうのは有無を言わさず、スパッと区切らないと事業運営がままならなくなりますよ」という声も出る。けれど、当事者として相談者の苦しみが理解できればできるほど「そこで途切れることは、とてつもない壁を感じさせることになるから、そんなことは絶対にできない。けど、どこかで区切らないとダメだというのもよくわかる。」という思考もある。

相談支援というのは、明確な線を引きづらい。そして、それが生活に紐付くものであればなおさら。育児というテーマは、身体的・精神的・経済的・社会的、、、などいろいろな側面を持ちすぎているから、より一層難易度が高い相談支援のひとつだと感じる。

難易度が高いからといって、経験年数を重ねた熟練者・スキルや資格を持った専門家たちでなければ、その役割を担えないかというと、そうではないと思っている。なぜならば、答えを出せる明確な問題まで行きついていない相談、いや答えなんてそもそも求めていない相談が多いから。

 

答えが欲しくない相談もある

ここで、話は脱線して、創業支援の話を少しだけ。正直、自ら起業した人たちに対して、その分野のアドバイスができるなんてこれっぽっちも思っていない。自分ができることは、話を聴く人間として、話を受け止めるための時間と少しだけの主観を織り交ぜた感想を言うだけしかできないと考えている。そして、相手も何か答えを求めてもしょうがないと思っている気がする。結局、やるか・やらないかは自分次第だから、むしろあーだこーだ言われたら気分が悪くなったりもするだろう。「お前に俺の何がわかるんだ」って。

じゃあそういう人は何のために相談しに来ているのか、というと『雑談』をしに来ているんじゃないかなって思う。起業家はとても孤独。何をするのにも自分ひとりで考え・決断しなければならない。だからこそ、ちょっとした雑談をして、気持ちを紛らわせる時間が必要で、もしその時間で違う人の考え方がヒントになれば儲けものだ、くらいに思って、相談いや雑談をするんじゃないかなと。

子育ての相談でも同じなような気がする。

どうにも、世の中にある相談支援は安直な答えを出しすぎているような気がする。(決して、そのサービスを否定しているわけではないです、むしろぼくたちは既存の答えを持ち・提供してくれる事業者と連携していきたいと考えている)少し話すテーマは重たいけれど、自分の思っていることを吐き出しに雑談をしたいと思っている相談者がたくさんいるんじゃないかなと。そういう人は決して答えが欲しいわけじゃない。

 

ただただ聴いてほしいだけのニーズもある

NPO法人つなげるでは、『傾聴』というスキルに重きを置いている。なぜかというと、前述している雑談での聴き役をわたしたちがまずすべきことだと思っているから。相手が安心して話し切れる空間、ここだったらいつでもまた話に来てもいいのかなという安心感を、守ってもらうためには『傾聴』の姿勢を身につけていないといけない。

人はどうしても役に立ちたいと考えてしまい、ついつい自分が思う答えややり方を人に説明してしまいがちだけれど、ぐっとこらえて「うんうん、なるほど」と聴き役に徹して、良い雑談を提供できる相談支援サービスが合ってもいいんじゃないかなと思う。

家の中で、孤独感を感じることが少なくない育児。その中でも、社会でマイノリティな多胎育児。コロナ禍でますます社会とのつながりが希薄になってきている中で、オンラインでもいいから、「とにかくわたしの話をただただ聴いてほしい」っていうニーズは確かにある。

答えを出すことに重きを置くんじゃなくて、まずは雑談相手として気楽な関係性を築けるようなサービスを心がけていきたいと思う。

 

ブログを読んでくださった方にお願い

「誰かの話をただただ聴いてほしい」というニーズに、応えるサービスの価値をまだ伝えきれません。ただ、そこには確かに価値があると信じています。ぼく自身、そういうサービスがあってもこれまで使ってこなかったです。ただ去年のあるときから、自分のことを、自分の言葉で、誰かに聴いてもらうだけの時間を、意図的につくっています。そして、その時間に、その聴いてくれる人に、しっかりとお金をお支払いしています。

相手の方が無料期間を設けてくださったこと、相手の方がこれまでにしっかりと勉強と経験を積み重ねてきたこと、お金を支払う経済的な余裕があったこと、そのどれが欠けても、いまぼくがその時間に価値があるという考えには至りませんでした。

NPO法人つなげるが実施する『聞いてよっ、ふたごママ先輩』にも、無料でお試しできる期間・回数や、相談員になるための勉強期間について、しっかりと予算をつけていきたいのですが、まだそのような経済的余裕が団体内にありません。

そこでお願いです。おひとり3000円の寄付をいただくことで、1回分の無料相談チケットと実地研修の場の確保ができます。それらを積み重ねることで、いろいろな人にこのサービスの価値を伝えることにもつながり、よりたくさんの方の雑談相手になることができます。そのことが、何気ない育児ストレスの軽減や、孤独感・無力感の解消にもつながると信じています。

どうぞよろしくお願いします。

 

2021年4月2日
大野 祐一