NPO法人つなげる

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「ふたごのへや」に対するわたしたちの想い

いつも「ふたごのへや」(以下「へや」とよびます)での関わりを大切にしてくださってありがとうございます。「へや」を運営していますNPO法人つなげるです。「へや」における先日のやりとりをきっかけに、わたしたちは団体としてみなさんにお伝えすべきことがあるのではないかと考え、議論し、その想いをまとめました。長文となりますが、ぜひご一読いただけば幸いです。

 

□ 「へや」を始めた理由と想い

2019年にLINEがオープンチャット(オプチャ)のサービスをリリースしたとき、わたしたちはそのサービスを利用して「へや」を始めることを決意しました。

たかがオンラインコミュニティの運営だろう、と思われるかもしれません。しかし、わたしたちには、とても勇気のいることでした。大きな可能性は感じつつも、いつどのような投稿があるのか、どのようなリスクがあるのか、前例もなく、判断がつかなかったからです。

一般的に、匿名性が高く、顔が見えないオンラインコミュニティのような場所は、世間では口にするのがはばかられ、誰にも言えないような悩みを打ち明けやすい場所です。しかしその反面、やりとりの攻撃性が高まりやすい場所でもあります。特に、「へや」のようなテキストだけのやり取りでは、声のトーンやニュアンスが伝わらず、そんなつもりで言ったのではない、といったコミュニケーションのズレも生じやすいものです。

でも、多胎児を育て、大変な日々を過ごしているみなさんの、辛い、しんどい、悲しい、といった気持ちに大小はなく、またその尊さに優劣はありません。とても「つらい」と感じる人がいる限り、その気持ちを吐露でき、受け止めてもらえる場所を、オープンチャットを利用して皆さんの身近に作る必要がある、とわたしたちは考えました。それに何よりも、子ども達のかわいい瞬間を話したい、知ってほしい、うれしい、といった喜びを共有できる場所が必要だと感じました。

 

□ 「あったか空間」を支えてくださっていることへの感謝

こうして「へや」を開設したあの日、こんなに沢山の人がここに集まってくれるとは想像もつきませんでした。このように、かなり難しい場所でもある「へや」を頼りに感じて集まってくれ、そこでのやりとりにチャレンジしてくださるみなさんに、わたしたちは本当に感謝しています。そして、誰もがみな大変な状況下にあるにもかかわらず、こうした場でお互いにお互いを思いやってくれている多胎ママ・パパたちを、わたしたちは誇らしくも思っています。

この場所を頼りに来てくれたみなさんは、多胎という点でマイノリティであり、蚊帳の外に置かれたような感覚に置かれたことのある方も少なくないと思います。そんな経験があるからこそ、人の痛みに気づけるんだなと、日々流れてくるトークから教えてもらっています。

本人確認もせず、不特定多数の方が集まっているにもかかわらず、ここまで続けられているのは、多胎育児をする人たちだけが集い(集っていると信じ)、誰もが日々がんばっているんだと、お互いに信じている強さがあるからだと思います。

また、「へや」がこのようにあたたかな場所(わたしたちは「あったか空間」と呼んでいます)であり続けられるのは、舞台裏で見守りと共感、応援を続けてくれ、適切な声掛けをしてくださっているつなげるピアサポーターのみなさんのおかげでもあります。

こうして「へや」にかかわるすべての皆さんの支援に、わたしたちは心から感謝申し上げます。

 

□ 「へや」でのやりとりについて、私たちがお願いしたいこと

当たり前のことですが、辛い、悲しい、苦しいと感じること、その感じ方は人それぞれです。誰かの苦しみをみて、手を差し伸べたいと思う人もいれば、自分には受け入れがたく、嫌悪さえしてしまうこともあるでしょう。いま、自分の置かれている状況がつらく、誰かの投稿にやりきれない思いをすることもあるかもしれません。

ただ、オープンチャットに書き込まれたその短い言葉の裏側には、その人なりの事情があるはずです。その投稿は、その方なりに苦しみ、悩み、勇気を出して書き込んだものかもしれません。その人にとってとても辛く、誰にも言えず、ただこの場所で荷物を下ろしたかっただけかもしれません。そして、そうした投稿は、あなたを責めよう・攻撃しようとして行われたものではないはずです。

言葉の裏側に見えないこうしたものに、どうか思いをはせていただければと思います。心に余裕がもてない時はスルーしていただければありがたいです。ここに集うわたしたちはみんな、よりよく生きたいと願い、子どもたちのよりよい未来を願っている人たちであることは確かなのですから。

もし、それでもあなたが心の重荷を下ろせないと考えているのなら、あなた自身の時間を確保して、「つなげる相談室」を利用してください。日々忙しく、自分を後回しにしているみなさんにこそ、どうか自分を大事にする自分だけの時間を確保してほしいのです。多くの方からの意見やアドバイスをもらえる「ふたごのへや」と、自分の中にある答えを探しにいく「つなげる相談室」を使い分けてもらえたらと思います。また、母子手帳で本人確認をした人だけが集い、安心してトークができる「ふたごのいえ」「ふたごのひろば」も利用してください。

 

□ わたしたちが目指す社会:「誰もが命の誕生を喜べる社会」

最後に、わたしたちNPO法人つなげるが目指すところ(つなげるToC)についてお伝えさせてください。

わたしたちは、多胎育児の問題を解決し、「誰もが命の誕生を喜べる社会を実現する」ことを目指して活動しています。わたしたちは、多胎育児の問題は皆さん個人や家庭が責任を負うべき問題ではなく、そうした状況を生みだしている社会の問題だと考えています。社会にある様々な問題を一つひとつ解決し、いまわたしたち自身が生きていること、存在していることを喜び合えるようにすることの先にこそ、新しい命の誕生、幼い命の存在を喜べる社会を実現できると信じ、活動しています。

こうしたわたしたちの考え方は、つなげるToC(セオリー・オブ・チェンジ)にまとめていますので、是非一度ご覧いただければ幸いです(ToCページ)。

しかし、問題の大きさに比べればわたしたちの活動はまだまだ小さなものにすぎません。多胎育児の問題の解決は、わたしたちだけで達成できるものではありません。「へや」をきっかけにつながった多胎ママ・パパを、必要であれば支援につなげるだけでなく、多胎育児に関わりのない人たち、そして行政・政治・企業など社会の様々なプレーヤーにも理解を広げ、支援の輪に加わってもらうことで、安心して多胎育児ができる社会を実現していく必要があります。

こうした活動にご賛同いただける方々には、どのような形でも結構ですので、是非わたしたちの活動に加わっていただければ幸いです。(支援ページ

 

2023年5月20日
NPO法人つなげる