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【多胎パパアンケート実行委員会】アンケート結果をうけて

2021.01.19

B.理事ブログ

昨年の3月31日~4月8日に、新型コロナによる多胎家庭の影響が気になり、アンケートを実施しました。

<アンケート結果はコチラ>新型コロナウイルス:ふたごを育てる家庭の困り事

 

この時、わたし達の中で困難さを抱えている人のイメージは、幼稚園や小学校へ通わせる双子や三つ子を抱えるママの姿でした。職場に無理をお願いして休むしかないママ、体力のありあまる幼児と自宅で過ごす時間を心配していました。そして、もともと引きこもりがちな生活をしている、乳児がいる家庭のママにはあまり影響がないと思っていたのです。

でも実際は違っていて、自由記述には紙おむつやミルクの購入制限、人の移動が制限されたことで多胎育児に必要な人手の確保ができなくなった多くの悲痛な声が寄せられました。

アンケートの最終日を迎える前に、自分の見通しの甘さを痛感し、すぐに行動へ移せるよう整えました。この時に誕生したサービスが、応援物資や液体ミルク配布、9時間対応オンラインによるホットライン開設などの活動です。コロナで様々な制限がある中で、目の前の活動に没頭していきました。

ある日、双子パパがふたごのへやで「アンケートはママ向けで、パパとして答えづらい」という声があがりました。この時に一番最初に反応したのは、つなげるピアサポーターのきょこさんでした。自分たちがやってきたことは、ママ目線でしかなかった。多胎育児はマイノリティだから、その人たちの声の代弁者になろうと進めているのに、もっと声が出しづらいパパの声に耳を傾けていなかったこと。

愕然としたし、そしてすぐにパパの声を拾おう。パパが何を想い、どうしたいと願っているのか、まずその声を聴かせてもらおう。そして、11月にこの多胎パパアンケート実行委員会を発足しました。今後は、いただいたお声にひとつでもこたえられるような活動につなげていきたいとおもいます。

パパ部も発足しました。
参加ご希望の方はコチラまで。

 

 

今回のアンケート結果をうけて、実行委員会のみなさんからパパへの想いをいただいています。長文となりますが、よかったらご覧ください。

 

 

きょこさん

 

自由記述を読んで

216名の回答記述を読んで驚いたのは、誰一人としてパートナーへの不満や批判を書かれていないことです。

育休を取得した方からは、パートナーのことを「チームメイト」「戦友」「共闘するあいて」であり、パートナーと「一緒に考えながら」育児をし、「能動的に家事に関わる」ようになり、「育児を自分のこと」と捉えることができるようになったとありました。

家族への愛を感じるコメントも沢山あります。「ふたりのことを大切に想いすぎているのではないかと心配するぐらいに大切に想い、奥さんには直接は伝えていませんが、いつもありがとうと思っている」「子供たち、パートナー、みんな愛してます」「子ども3人の一生の応援団長になりたい」

そんな父親たちが地域、社会、職場の中に立つと、女性・母親とは少し違った苦しみを持つことが多くの記述によってわかります。それぞれ使われている言葉は違いますが、父親が家庭で過ごし家族を大切にできる時間の必要性と、それを後押しできる社会に変えていきたいという思いが書かれています。そうなれば、子育中の家庭に限らず、誰もが互いの困難さに手を差し伸べられる素晴らしい社会になると。

まだ、女性が社会に出て働くということが困難で、妊娠=退職、結婚・妊娠していなくても30代で定年だった時代には、女性は時が来たら家庭に入り、子どもが生まれたら子育てに専念し、男性(父親)は稼ぎを家庭に持ち帰る役割とされていました。そこから変化があったのは、私たちの母親の世代。様々な社会を変えていく動きの中で、先輩たちが女性の定年延長や産休・育休制度を作り、女性でも働き続けられるようになりました。

ようやく、女性については産後休暇に引き続いた育児休業の取得が当たり前に考えられるようになってきましたが、男性(父親)の働き方については、前世代のまま置いていかれています。実際に妊娠をしない男性には産休はありませんが、その他の子育てに関係する制度については男女同等に取得できるはずなのですが、男性にとってハードルが高いものであることがアンケート記述によってわかります。

子育てにかかわりたくても、職場の風土によってライフワークバランスを保つための制度が使えない。多胎児を育てるための経済的不安が大きく、主たる生計者として家計を回すために仕事時間が増える。巣立つまでの経済的責任感。制度利用を決断し取得できたとしても、誰かが自分の仕事をやってくれるわけではない。それは母親の役割ではないかと言われる。「父親には育休はない」と書かれていた人もいました。

男性の育休取得などの育児へ関わる時間を求める声と同時に多いのが、地域や社会資源などのサポートの必要性です。
「ファミサポなど役所などから言われるものは多胎ゆえ断られたりが多い。ヘルパーもしかり」
「保健師や窓口に相談してくれと言われるが、意味のない返事しか返ってこない」
「多胎に限ったことではないが、公的な支援が妊娠、出産、保育園、小学校…と一体的なパッケージになっていない」
「多胎支援であるにも関わらず、窓口に行かなければ支援を受けられないのは支援の目的を行政側が理解していないといわざるを得ない」など。

また、夫婦だけでの多胎育児の困難さを吐露している声もありました。

「夫として父親として最大限のことはしているつもりだが、それでも妻から応援を求められたりすると精神的に追い込まれそうになる時がある。双子の父親は仕事以外の時間は睡眠時間も削り全て育児や家事をする時間に充てたり妻を週に1回程度リフレッシュさせる為、一人で双子の世話をするという状況は一般的なものなのか疑問に思う時が増えてきた」と。

職場の育児への理解に対する記述に「理解はあっても、多かれ少なかれ第三者への負担は避けられず、問題が顕在化したときに不理解に変わる」とありました。それは理解を得たい父親・母親の職場だけの問題ではなく、社会資源を提供する機関にも同じことがいえると思っています。多胎支援を行う中で、実際に「困ったことがあったら、地域の保健センターに相談してごらん」「家族だけで頑張りすぎないよう、公的な制度やサービス利用をしよう」とアドバイスをします。

ですが、正直なところ必要な機関につなげた後の不安も感じながらのアドバイスです。制度があっても、サービスを行うヘルパー不足や、相談を受ける担当者が抱えきれないほどの件数を抱えていたり、担当者自身が生活や雇用不安を抱える不安定雇用者であったりという理由で、制度が使えるものになっていない現状もあります。制度さえできればよいというものではありません。職場だけの問題ではなく、公的機関や自治体からの委託を受けた事業所などに対応できる適正人員の配置についても、私たちの課題として一緒に取り組んでいかないといけないのではと思います。

初めて多胎の父親対象のアンケートを行いましたが、父親としての悩みが多く書かれていることにも驚きました。父親同士のネットワークや父親の思いをくみとる場所が必要だと感じました。

「家族でさえも悩みを共有できない」「父親としての相談を腹を割ってできる人はいない」「子育てにかかわれば関わるほどしんどくて、自分の首を絞めているようでもあります」「男性が育児に悩んだ時にSNSなど見てしまうと、もっと頑張れとか、ママは当たり前とか、なかなかつらい内容も多い・・・男性の思いに寄り添いながら、仕事との両立ができるような情報にあふれればと思います」「母親の苦労が強すぎて(父親は)何をやっても足りないという評価になりやすい。社会的に、父親の育児に対して優劣をつけず、肯定的な受け止められ方をする風潮が欲しい」「男は弱音を吐かないというような社会通念も、特に申請時期や夜泣き全盛期はつらかったです。めちゃくちゃしんどいのに、弱音の吐き方が分からないし、その場所もない」

男性が日本の風土や教育などによる「自分(父親)の内側からのジェンダーバイアス」を取り払えるように、そして「社会が父親というリソースをちゃんと家庭に返すのと同時に、受け入れる家庭の側(行政、福祉サービス、幼稚園や地域コミュニティ)もまた、性差で役割を決めず父親母親をそれぞれペアレントとして位置づけ直す」こと、そして「未来の宝である子育て」を地域社会で育てられるように、私たち当事者が社会に働きかけていかなければならないと感じました。

先日の双子三つ子パパのオンラインミーティングでは、「もっと掘り下げた質問があっても良かったかも」という声をいただきました。第二第三のアンケートも継続しながら、父親も母親とともに思いを吐露できる場を作りたいです。「双子のパパになってから、他の家庭の育児に苦しんでいる方に対して、寄り添いたい、力になりたいという気持ちがとても強くなりました」「双子もだめなら障がい者(車イス)の方も入れるところが限られているのではないかと思う」という声も寄せられています。

多胎親になったとたん、双子や三つ子を見つける機会が増えるといいます。社会的弱者の立場になると、同じように社会に困難さを抱える人たちの生活にも目が向いていく人が多いのではと感じます。「多胎家庭が暮らしやすい社会は、いろんな困難を抱える人も暮らしやすい社会になる」と信じ、社会を変えていくための取り組みを進めていきたいです。

 

うねきちさん

 

アンケートを読んでの感想です。
仕事と育児のバランスが中々取れていない印象。育児に関わりたいけど、会社の理解だったり制度が追いついてないと感じている方が多いように感じます。職場に理解がありますか? 勤務変更できますか?の設問への記述が個人的にはリアルに感じました。育休を取られた方の意見はすごく前向きで、育休を取ることで関わり方が積極的になるのかなと、同じパパとしてうらやましい意見が多かったです。また、家事、育児に積極的に関わっている方が多いのは多胎パパあるあるなのでしょうか。

家庭に関わる設問のに対する回答をいただいた方の意見で、我が家も回らないというのが本音で関わっています。一般的な意見で言うと多胎だからなんで特別な支援をしないといけないの?って言われる方がほとんどだと思います。育児ってみんなそうやって悩んで、苦しんでやってるんじゃないの?って言われると思います。このアンケートを見ていると皆さんそこはわかってて、それ以上に同じレベルの子供を2人以上育てる事に社会の理解、インフラの整備を必要と感じてる方がほとんどだと思います。

最後の自由筆記で気になった記述で、豊田の三つ子事件の時にパパとして痛感したものがありました。吐き出せる場も必要だと思うけど、「書類やイベント名が全てママなのが参加しづらい。」の方のような現実もあります。

最後に記述から感じているのがイクメン=育児するメンズ。この言葉が悪い意味で一人歩きしていると思ってて、以前、ネットで見つけた「イクメン=育児するメンバー」って言葉になればいいなと思います。

 

あさみ

 

印象に残った回答は

「Q.職場は育児に理解がありますか」の設問に対して
「理解はある方だと感じるが、女性に対して仕事量を調整するなどの配慮はあるが、男性に対する配慮はあまり感じられない。家事育児は母親、仕事は父親という考え方が残っているように感じる」
「時間の拘束が少なく、育児で職場に迷惑をかけることがほぼないが、育児は母親がするもので、父親は可能な時に可能な範囲で協力するもの、という価値観を感じることはたびたびある。」
育児のに対する理解は「職場」というより「世の中の固定概念」みたいなものに問題があるんだなぁと感じさせられました。

「Q.育休取得前後で子育てや家事、パートナーへの関わり方に変化があった場合の内容」の設問に対して
「家事への関心が高まった。例えば、洗濯機の音が聞こえるようになった。能動的に家事に関わるようになった意識の変化だと思われる。その他にも、今妻が何をしたいと思っているか考えられるようになった。」
今まで聞こえてなかった音が聞こえるようになるってすごい変化だなっとちょっと感動した回答でした。

自由記述の回答は大まかに

①社会や会社の制度的な問題の改善を求める声
②性別による偏見や、社会の風潮の変化を求める声
③ママや家族への感謝

に分けられるのかなって思いました。

自由記述に関してはもうどれもこれも全部外に出したいくらいです!
が、特に、

「双子のパパになってから他の家庭の育児に苦しんでいる方に対して寄り添いたい、力になりたいという気持ちがとても強くなりました。」
「双子育児は1人育児より父親の援助は必要になると思います。ただ、どうしても父親は母親に比べると意識や能力に差が出てきます。その時に夫婦間でどれだけ話しやすい環境を作れるかが大事だと思います。お互いがお互いの主張を心の中で温めていても、すれ違いが大きくなるだけです。まずは相手の主張を受け入れ、落とし所を見つけていく『経験』を積み重ねていくことが大事だと思います。大体の育児問題は、夫婦間コミュニケーションで解決できるのではないでしょうか。」
「双子育児、ほんとに辛い。本当に大変。虐待してしまう方の状況や気持ちもわかります。育児が大変だというのを会社に沢山説明しないと理解してもらえないのも辛い。向こうに悪意はないと思いますが、育休取得することについて嫌味にも聞こえるような言葉も言われました。育休はもちろん仕事から離れてしまうけど、仕事を放り出したり無責任なことをするつもりはないのに!!こちらの気持ちを全然わかってもらえない!核家族であれば父親の役割は大きく、本当にしんどい。子育てに関われば関わるほどしんどくて、自分の首を絞めているようでもあります。仕事に逃げて家事育児に関わりたがらない男性の気持ちもよーくわかります。1人でも育児は大変なはず。多胎だったり、早産、医療の必要性が高ければ尚更です!育休取得に理由や説明なんか必要ない世の中にしたいです!して欲しいです!」
「社会が父親というリソースをちゃんと家庭に返すのと同時に、受け入れる家庭の側(行政、福祉サービス、幼稚園や地域コミュニティ)もまた、性差で役割を決めず父親母親をそれぞれペアレントとして位置づけ直す必要があると、強く感じています。」
「『多胎児にだけ優しい社会』ではなく、『全ての子育て世代に優しい社会』が必要ではないかと思います。 障害児もいるでしょう。 育児ノイローゼの親もいるでしょう。 『多胎児』以外の問題も、包み込んでいかなければいけませんね。 」
という回答は考えさせられました。

この間のパパのおしゃべりのへやもそうでしたが、パパたちが育児に参加できないことに対して、ママや家族にこんなにも感謝やいたわりの心を持っていてくれたことに本当に感動しました。

社会的な制度は追いついていない、世の中の風潮の中には「男は仕事」のイメージと男も家事育児への参加を求められる両方が混在している状態で、パパたちのもどかしさは計り知れないんじゃないか、そんなことも考えさせられました。

このアンケートをきっかけに、社会的制度の整備はもちろんですが、すべての人に対して優しい心を向けられる世の中になってくれたらいいな:スマイル:(なんて大きなことを考えてしまいました)

@うねきち さんの「イクメン」が「育児をするメンバー」っていいですね
個人的にどうしても「イクメン」という言葉に引っかかりを感じていたのでとてもステキだと思いました!

 

 

2021年1月19日

NPO法人つなげる
多胎パパアンケート実行委員会
きょこ、うねきち、あさみ、なかはら