【#非当事者から見える景色】多胎支援も事業承継問題という課題
2021.04.30
こんにちは、大野です。前回は、『自分の経験をどう再現・改善できるか』というテーマでブログを書きました。今回は、『ふたごのへや』についてです。なぜ、ぼくたちがオンラインコミュニティを形成しているのか、その先にどんなことを実現していきたいのかを、お伝えできればと思います。
「ふたごのへや」から退会していく人が気になる
2019年9月に開設した『ふたごのへや』、そこから1年後に振り返りをしたブログを読み返すと、「日本でいちばんのオンライン多胎サークルを目指している」「ユーザー数700という数字はあまりにも少なすぎる」と。そして、「ようこそ、ふたごのへやへ」と呼びかけをする、ふたごのへや管理者でもあるつなげるピアサポーターのメンバーがいるからこそ、オンラインコミュニティであるにもかかわらず、大きなトラブルも・コミュニケーションが荒れることもなく、続けていくことができているという振り返り。
また、2020年12月末までの状況を分析したところ、メディアに取り上げられたタイミングでユーザー数がグッと増えるんだなとか、急激に投稿数が増えているなとか、数字から見たインパクトはどんどん増しています。そこで気になるデータとして、新規登録者数の合計と現在のユーザー数が合わないこと。要は、新しく入る人もいれば、退会していく人もいるという単純な答えにはなるんだけど、退会していく人が気になる。
退会時にアンケートを取っていないので、なぜ退会したのかはわからないけれど、「人数と投稿が増えて、コミュニケーションが取りづらくなったな」とか、「もともと欲しいと思ってた情報が見当たらなかった」とか、不満を抱えている部分もあるかもしれないと思うと、改善の余地があるなと思う。
多胎育児ならではの『喜び・つらさ』
NPO法人つなげるにとって、「ふたごのへや」がどういう場所かというと、多胎育児家庭同士がつながれる場所と位置付けている。
育児は自分たちでやるもの、誰かを頼ってはいけないもの、何かを我慢してやっていくもの、というのが誰かに言われたわけではないけれど、そんな意識がみんなの頭のどこかにあるのかなって。そして、さらに多胎育児は周囲から理解されていないことが多くて、多胎育児家庭はより一層、孤独・孤立を感じてしまいやすいのではないか、とNPO法人つなげるでは問題意識を持っている。
「育児が一度に終わって楽だ」なんてそんなこと思ったこともなかったけれど、そういったことを言う人もいるみたい。そういった心無い言葉をなくすことは、育児の実態をシェアしていく中で、授乳・寝かしつけ・夜泣きのタイミングがバラバラで単純に倍時間がかかるというのは理解できてくるかなと思う。
でも、双子・三つ子を育てているからこそ発生する喜びやつらさというのもあって、それはきっとピア(同じ境遇の人)にしか理解できない部分もあるのかもしれない。分娩数の1~2%しか発生しない多胎分娩。身近にそういうあるある話をできる機会も限られるというのだけ、容易に想像できる。
だからこそ、多胎育児家庭同士がつながれる場所、が必要。そして、継続していくことも必要だろうなって、個人的にも・NPO法人つなげるとしても感じている。
“人” を未来につなげていく
なので、「ふたごのへや」の運営課題は、継続していくこと。継続していくためには、”人” の存在が必要不可欠。
「ようこそ、ふたごのいえへ」という呼びかけもそうだけど、「みんながどうやったら存在を知ってくれるだろう」「どんな声掛けだとみんな安心して話せるだろう」「夜中のつらい時間帯も対応できるようにどうしたらいいだろう」と考え続けているメンバーがいまはいる。たまたま集まったわけではなくて、志を共にした結果集まっている。でも、その中心には “人” がいる。じゃあ、その人たちがいなくなったら、どうなるんだろう。
日本全国で中小企業の事業承継者問題があるように、地域の多胎サークルでも事業承継問題がある。そして、「ふたごのへや」でも同様の問題が発生する。
現在から未来に「ふたごのへや」をつなげていくということは、そこに介在する “人” も現在から未来につなげていかなければならない。いまいるメンバーが引退するから、新しいメンバーがでてくるのではなくて、運営側のメンバーも出たり入ったりが必要。
「人数と投稿が増えて、コミュニケーションが取りづらくなったな」とか、「もともと欲しいと思ってた情報が見当たらなかった」とか、「もう自分はここのお世話にならなくても大丈夫」とかで、離れていく人がいるのはもったいない。
この志に共感してくれるメンバーになってもらえないかという類の呼びかけも必要。